農学博士 上條先生講話

講話の様子

上條先生による講話の後半です。
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 酸化還元電位の値は、プラスであるほど酸化力が強く、マイナスであるほど還元力が強い。水道水はおよそプラス500〜600mVの酸化電位を示すが、ここに水素吸蔵サンゴ粉末を添加すると、直後に電位値は降下し始め、数分後には大きくマイナスの還元電位を示した。更にこの数時間後、ひいては数日後もマイナス値を保持したので、非常に優れた還元能を有していると言える。水素は空気中に飛散しやすいため、体内で還元力を持続させる事が開発上の課題である。その点このように還元電位を長時間保持できる事実が確認されたので、水素吸蔵サンゴを抗酸化食品として服用すれば、健康面で顕著な効果を現すものと考えられる

 更に我々は、アセトアルデヒドの還元作用について注目した。アセトアルデヒドはエタノールを酸化して得られるが、人体にとっては神経を刺激する有害物質である。建築材から放出されてシックハウス症候群と呼ばれる体調不良を引き起こし、飲酒後に肝臓でアルコールから生成されて悪酔いや二日酔い、肝硬変の原因にもなる。更には発がん性があるため、過度の飲酒により膵臓がんや大腸がん等の発症率が高まる危険性も挙げられる。そこで酒類に含まれるアセトアルデヒドを、水素吸蔵サンゴによって還元できるか検討した。市販の焼酎にサンゴ粉末を0.1%添加して栓をし、撹拌しながら一定時間おきにサンプリングした。これを遠心分離し、上清中のアセトアルデヒド濃度を測定した。

 その結果、焼酎に含まれるアセトアルデヒドが経時的に減少したのが確認され、添加から2時間後には殆ど消失したよって、水素吸蔵サンゴの服用による飲酒時の悪酔いや二日酔いの抑制が期待できる

他にも水素吸蔵サンゴの活用として、素焼き用粘土や鉄と配合して焼成し、セラミックボールの製作を試みている。セラミックに包含させることで水素イオンの飛散を防いで還元力を長期間保持することができ、これを水に浸せば高濃度の水素イオンを発生させられ、水処理等に活用できると考えられる。また、空気中に据え置く吸着剤として用いれば、アセトアルデヒドと同様にシックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドに対しても有効な除去効果が期待される更にウィンナーなどの加工食品に添加すれば、摂取による抗酸化作用は勿論、他の酸化防止剤を添加しなくても食品自体の酸化を防げることになり日持ちも改善されるであろう。優れた還元力を様々な部門に活用するべく、水素イオンの更なる研究開発を進めている